2026 年 4〜5 月、Moonshot AI が公開した Kimi K2.6 は、長時間のエージェント推論やオープンウェイト公開などで開発者コミュニティの注目を集めています。日本語圏でも「Kimi K2.6 Clash」「Moonshot Kimi プロキシ」「Clash Verge Rev Kimi K2.6」といった検索が増えており、Web チャットと API の両方で接続が途切れるという声が目立ちます。本記事では、Clash Verge Rev を使い、Kimi 関連トラフィックだけを安定ノードへ送る分流(ルールベースプロキシ)と、API クライアント向けの安定設定を、2026 年版の手順としてまとめます。
Kimi K2.6 とは:なぜ「Clash で安定化」が話題になるか
Kimi K2.6 は Moonshot(月之暗面)の最新世代モデル群で、マルチモーダル推論、長いコンテキスト、エージェント向けワークフローなどが強化されています。利用形態は大きく二つに分かれます。
- Web:
kimi.moonshot.cnなどブラウザ上のチャット UI - API:
api.moonshot.cnへの HTTPS リクエスト(OpenAI 互換エンドポイントを含む)
どちらも中国本土のインフラに依存するドメインが多く、利用者の ISP・国際回線・DNS の組み合わせによっては、レスポンス遅延、TLS ハンドシェイク失敗、断続的なタイムアウトが起きます。単一の「常時 ON」VPN では国内サービスまで遅くなる一方、Clash の Rule 分流なら「Kimi だけプロキシ、それ以外は直結」という運用が現実的です。
分流の要:Moonshot / Kimi 関連ドメイン一覧
購読プロファイルに含まれるルールセットが moonshot.cn をカバーしていない場合、次のドメインを明示的にプロキシグループへ送る設定を追加します(2026 年 5 月時点で一般的な例です。プロバイダーが別ドメインを案内した場合はそちらを優先してください)。
api.moonshot.cn— API・SDK・curl テストkimi.moonshot.cn— Web チャットmoonshot.cn— 公式サイト・リダイレクトplatform.moonshot.cn— 開発者コンソール(利用時)
ルールの粒度は DOMAIN-SUFFIX,moonshot.cn,プロキシグループ名 が手早く、細かく制御したい場合は API だけ別ノードにするなど、遅延の少ないノードを Kimi 専用に割り当てる方法もあります。
事前準備:Verge Rev が「使える状態」か確認
- Clash Verge Rev を起動し、有効な購読プロファイルを選択していること。
- 画面下部のモードが Rule(ルール) であること(Global は国内サイトまで遅延しやすい)。
- プロキシ 画面で遅延テストを行い、Kimi 向けに使うノードを 1 つ選ぶ(香港・シンガポール・日本など、プロバイダー推奨地域に合わせる)。
- ブラウザ利用なら システムプロキシ をオン。CLI・一部アプリは TUN または後述の
HTTP_PROXYが必要。 - 混合ポート(既定は多くの購読で
7890)が他ソフトと競合していないこと。
ログに dns resolve failed や i/o timeout が出る場合は、先にノード切り替えと DNS 設定(購読の dns ブロック)を確認してから Kimi 側を疑うと切り分けが速いです。
ステップ 1:Kimi 向けカスタムルールを追加
Clash Verge Rev では、購読 YAML の上書きとしてマージ設定やプロファイル編集でルールを足せます。Mihomo(Clash Meta)形式の例:
rules:
- DOMAIN-SUFFIX,moonshot.cn,Kimi-Proxy
- DOMAIN-KEYWORD,kimi,Kimi-Proxy
proxy-groups:
- name: Kimi-Proxy
type: select
proxies:
- 香港-01
- 新加坡-02
- DIRECT
GUI だけで操作する場合の流れ:
- 左メニュー プロファイル で使用中の設定を右クリック → 編集 または ルール タブを開く。
- 購読が「ルールの上書き(Merge)」を許す場合、
rules:セクションの先頭付近にDOMAIN-SUFFIX,moonshot.cn,...を追加(先にマッチしたルールが優先)。 - 保存後、プロファイルを再読み込みし、モードが Rule のままであることを確認。
- 接続 または ログ で
api.moonshot.cnへのアクセスが意図したグループ経由か確認。
DIRECT を選んだまま Kimi だけ遅い場合、ルール順序が下位にある・別の GEOIP,CN,DIRECT が先にマッチしている可能性があります。Kimi 用ルールをより上に移動してください。
ステップ 2:Kimi Web(ブラウザ)を安定させる
- Verge Rev で システムプロキシ をオンにする。
- ブラウザの拡張機能プロキシ(SwitchyOmega 等)が二重に効いていないか確認。競合すると一部リクエストだけ直結になります。
https://kimi.moonshot.cnを開き、ログイン・会話送信が完了するか試す。- 失敗時はブラウザの開発者ツール → ネットワークで、失敗 URL が
moonshot.cn系か CDN 別ドメインかを確認し、必要ならそのドメインもルールに追加。
Web はシステムプロキシを尊重するブラウザ(Chrome / Edge / Firefox の通常設定)であれば足りることが多いです。社内ブラウザや特殊なセキュリティ製品はプロキシを無視するため、その場合は TUN モード とサービスモード(インストール記事参照)を検討してください。
ステップ 3:Kimi K2.6 API をプロキシ経由で叩く
API 利用者が検索するのは「キーは取れたが curl がタイムアウトする」パターンです。Clash のローカル混合ポート(多くは 127.0.0.1:7890)へトラフィックを渡します。
curl での疎通確認
export HTTPS_PROXY=http://127.0.0.1:7890
export HTTP_PROXY=http://127.0.0.1:7890
curl https://api.moonshot.cn/v1/models \
-H "Authorization: Bearer $MOONSHOT_API_KEY"
Windows PowerShell の例:
$env:HTTPS_PROXY = "http://127.0.0.1:7890"
$env:HTTP_PROXY = "http://127.0.0.1:7890"
curl.exe https://api.moonshot.cn/v1/models `
-H "Authorization: Bearer $env:MOONSHOT_API_KEY"
Python(OpenAI 互換 SDK)では環境変数 HTTPS_PROXY を設定するか、クライアント生成時に base_url="https://api.moonshot.cn/v1" を指定し、OS レベルでプロキシが効くよう TUN を使う方法があります。モデル名に kimi-k2.6 など K2.6 系 ID を指定する際も、エンドポイントホストは上記 API ドメインに向きます。
API キーとログ
- キーは
MOONSHOT_API_KEYなど環境変数に置き、Git に含めない。 - Verge Rev のログにリクエスト URL が出るため、画面共有時はログをマスクする。
- 429 / 5xx はプロキシではなくレート制限・サーバー側の可能性もある。別ノードに変えても同じなら API ダッシュボードの利用量を確認。
TUN とシステムプロキシ:Kimi 利用での使い分け
| 利用シーン | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| ブラウザのみで Kimi Web | システムプロキシ | 設定が軽く、国内サイトは Rule で DIRECT しやすい |
| Python / Node CLI、IDE プラグイン | TUN または HTTP_PROXY 明示 | プロキシ非対応アプリが多い |
| 長時間エージェント・大量 API | 専用ノード + Rule 固定 | 途中のノード自動切替でセッションが切れるのを防ぐ |
TUN 有効化で UAC が出る場合は、サービスモードを先にインストールしてから再度試してください(Windows 11 手順はインストールガイドに記載)。
DNS と「接続はするが遅い」ときの切り分け
- 仮想 DNS:購読で
fake-ipを使っている場合、特定ドメインだけnameserver-policyで実 IP 解決に切り替えると改善することがあります。 - IPv6:ノードや回線が IPv6 未対応なのに AAAA 優先で失敗する例 → 一時的に IPv6 をオフ、またはルールで該当ドメインを IPv4 側へ。
- DoH / DoT 競合:ブラウザのセキュア DNS と Clash DNS が二重にならないよう、テスト時はブラウザ側 DNS をオフにして比較。
Verge Rev の 接続テスト またはターミナルで nslookup api.moonshot.cn を実行し、解決結果がプロキシ環境と矛盾していないか見ます。
ステップ 4:動作確認チェックリスト
- Rule モード・プロファイル有効・ノード選択済み。
- ログで
api.moonshot.cnがKimi-Proxy(または選んだグループ)経由になっている。 curlでモデル一覧が返る(401 はキー問題、タイムアウトはルート/ノード問題)。- Web で長文送信・ファイルアップロードが完了する。
- 国内一般サイト(ニュース・決済など)が不要に遅くなっていない(分流が効いている証拠)。
よくあるトラブル
- Web だけ開けない:ブラウザ拡張のプロキシ競合、システムプロキシ OFF、ルールで DIRECT になっている。
- API だけ失敗:
HTTP_PROXY未設定、ポート 7890 相違、ファイアウォールがローカルプロキシをブロック。 - しばらく動いて途中で切れる:ノードの自動選択(URL Test)が切り替わった → Kimi 用グループは手動 Select に固定。
- SSL 証明書エラー:企業 MITM プロキシと Clash の二重 TLS → 社内ポリシー確認、または DIRECT ルールの誤マッチ。
- K2.6 モデル名エラー:API 側のモデル ID 変更はプロキシ無関係。公式ドキュメントのモデル名表を再確認。
よくある質問
Kimi K2.6 は Clash なしでも使えますか?
回線によっては可能です。不安定なときだけ Clash を入れる使い方でも問題ありません。本記事の目的は、必要なトラフィックだけを良質なノードへ送り、他を直結のままにすることです。
Global モードで Kimi を使ってもよいですか?
動作はしますが、国内 CDN や銀行系サイトまで海外経由になり遅延・ CAPTCHA が増えがちです。Kimi 専用なら Rule + ドメインルールが適しています。
macOS でも同じですか?
はい。Clash Verge Rev は macOS でも同一概念です。TUN には管理者パスワードが必要な場合があります。インストールは ダウンロードページ から OS 用ビルドを取得してください。
まとめ
2026 年の Kimi K2.6 試用では、moonshot.cn 系ドメインの分流、Rule モード、Web はシステムプロキシ・API は混合ポートまたは TUN の三つを揃えると、接続の体感が大きく変わることが多いです。手順は「Verge Rev を Rule で稼働 → Kimi 用ルール追加 → ブラウザと curl で検証 → ログでルート確認」です。
常時接続型の単機能 VPN は、国内と海外を切り替えられず、Kimi だけ直したいニーズに合いません。ブラウザ内蔵の簡易プロキシ拡張も、ターミナル API や IDE には届きません。Clash エコシステムなら、購読の自動更新、ドメイン単位の分流、Shadowsocks / VMess / VLESS など複数プロトコルを Verge Rev の GUI で管理でき、Kimi K2.6 の Web 試用から API 本番まで同じクライアントで運用できます。まだ導入前の方は、先にクライアントを入れてから本記事のルール設定に進むとスムーズです。